ユリアン ミンツ。 #logh #ユリアン・ミンツ 【WEB再録】Prototype

ユリアン・ミンツ

ユリアン ミンツ

SS投稿掲示板 その他SS投稿掲示板 No. それは自分たちの英雄が、新たなる英雄として登場したことへの現れであり、憧れであった。 英雄の名前はヤン・ウェンリー。 イゼルローン要塞を無血占領し、アスターテ会戦で史上空前絶後の大勝利を収め、アムリッツァでの全軍崩壊を防いだ英雄。 誰もが知っている英雄、ヤン・ウェンリー。 そんな地位と名声を得た男は新たなる階段を昇った。 それは銀河共和国大統領という頂。 そう、彼は手に入れたのだ、銀河共和国の最高権力者としての地位を。 だが、彼は薄ら寒さを感じた。 side ヤン 黒い高級なツーボタンスーツを着た男と黒い、体の線がはっきりと出たドレスを着た女が赤い絨毯の上を歩く。 外から聞こえる熱狂。 それを聞きながら黒いツーボタンのスーツの男は思った。 (500年前にルドルフを支持した民衆もこうだったのではないだろうか) (・・・・・そして私もルドルフのように棄てられるのではないか?) (何を馬鹿な想像を) (第一、私はルドルフじゃない。 この戦争を終わらせたいだけなんだ) 彼は首を振る。 そして歩く。 今やファーストレディとなったフレデリカ・G・ヤンと共に。 オーバーホールオフィス、大統領執務室へ。 そして。 最高裁判所長官が立っていた。 「ヤン大統領」 「はい」 「君は共和国憲章を遵守し、共和国の未来と平和と繁栄のために働くことを誓うかね」 大統領執務室の上に置いてある共和国憲章。 それも初代共和国憲章だ。 (実物を見るのは初めてだな) 場違いの感想を持つヤン。 それを手に取り条文を唱和する。 「銀河共和国は自由と平和と平等への道しるべとしてここに建国を宣言する。 願わくば、その原則が子々孫々まで伝わるように」 最高裁判所長官が頷く。 「よろしい、では、その条文にしたがって行動すると誓うかね?」 ヤンは即答した。 「誓います」 と。 「ファーストレディ、君はこれから待ち受けるであろう困難を夫共に支えていく覚悟があると誓うかね」 フレデリカも即座に答えた。 「誓います」 鷹揚に頷く最高裁判所長官。 「ではここにサインを、大統領」 「はい」 大統領誓約書にサインする。 「ではここに第435代銀河共和国大統領ヤン・ウェンリーが誕生したことを宣言する」 そのとたん、ソリビジョン中継を見ていた市民からは熱狂的な反応が返ってきた。 (そして、私は監獄の中に入る。 歴史という永遠の監獄へ) 知ってかしら、知らずかフレデリカが手を握る 過去は変えられない。 現在は全ての選択の末に成り立っていることだ。 ヤンは決意を新たにした。 何よりも今隣にいない家族の為に、仲間たちのために。 (フレデリカ、ユリアン・・・・そしてみんな) (戦争を・・・・・終わらせるよ) 宇宙暦798年 7月1日 ヤン・ウェンリーは圧倒的な多数はで大統領選に勝利した。 彼はラザフォート大統領の任期を受け継ぎ、更に通常の大統領任期5年の合わせて7年という、特例として1期7年のヤン大統領時代を迎える。 その内の前半は謀将大統領の異名を取るほど苛烈なまでの謀略を銀河帝国ゴールデンバウム王朝に展開した。 また安全保障の一環としてイゼルローン要塞、フェザーン要塞を設置し、外敵からの侵入を防ぐと同時に、国内の広大な、後数世紀は富を生む恒星系開拓に全力を注ぎ、方やローエングラム王朝と講和・通商条約を結び民需を活性化させる。 銀河帝国ローエングラム王朝との講和は、フェザーンを仲介に行われた。 そして、フェザーン方向に新たな航路が発見されると人々は銀河共和国設立当時の熱狂をもって開拓に向かい、後年、ローエングラム王朝と銀河共和国の子孫が共同し運営する『自由惑星同盟』を設立させることになる こうしてヤン・ウェンリーは人類に第3の黄金期を出現させた。 ヤン・ウェンリーはまたしても、奇跡のヤンとして国民から褒め称えられることになる。 その後のヤン・ウェンリーは妻、フレデリカ・G・ヤンとの一男一女をもうけ、養子のユリアンはアムリッツァで知り合ったカーテローゼ・フォン・クロイツェルと結婚し、こちらは二人の男の子を授かった。 そしてヤンが願ったとおり、その子供たちが戦場にたつことは無かった。 宇宙暦849年 8月1日 ヤン・ウェンリーの時は、83で永遠に停止した。 そしてそれから二日後の8月3日、フレデリカ・G・ヤンも75歳で死去する。 それが自殺だったのか自然死だったのかは今でも論議されている。 その後二人は生前の遺言に反し、大々的な国葬を持って葬られる。 先代の大統領、ユリアン・ミンツは小さな身内だけの葬儀を希望したが、それは叶わ無かった。 その国葬はヤンの思いとは裏腹に壮大で厳粛なものとなり、銀河共和国からはかつてのヤン・ファミリーの生き残りたちが、銀河帝国からは老齢のジークフリード・キルヒアイス副帝とその妻アンネローゼ・キルヒアイス、そして第3代皇帝ラインハルト2世が、自由惑星同盟からはアーレ・ハイネセンの直系の子孫、リーグ・ハイネセンらが出席した。 こうして英雄は伝説から歴史へとかわり、人類は新たならる一歩を、英雄のいない世界へと足を踏む出すことになる。

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アレックス・キャゼルヌ

ユリアン ミンツ

コロナウイルスの感染拡大に、不安な毎日を送っています。 私は不必要な外出を控え、本を読んだり絵を描いたりして過ごしています。 なんだかこれが一番落ち着きます。 主観やオリジナル要素も多いので、お気をつけください。 そのミンツ家は、かつてアーレ・ハイネセンとともに帝国から脱出して自由惑星同盟を建国した格式高い家柄です。 一方、母方の家系は帝国平民からの亡命者でした。 この、大きく異なる二つの家柄が問題の発端になりました。 名家の誇りを汚されたと感じた祖母は、嫁だけでなく孫にもつらく当たります。 帝国門閥貴族のような腐った行いが、民主主義の世の中でも起きた…… 特権意識がもたらした逆転現象に、8歳のユリアンはぶつかってしまったのです。 幼いユリアンは祖母の顔色をうかがいながら、家事を手伝っていたと思います。 怒りや恨みを持つよりも「祖母はそういう人なんだ」と受け入れ、自分にできることで環境を改善しようとしたのではないでしょうか。 自分のスキルを磨くだけじゃなく、相手の気持ちも良くしようと努める人。 私はユリアンからそういった向上心を感じています。 そういうわけで、たくましさのある心優しい青年をイメージしました。 この時のユリアンは早くも掃除洗濯に加え、炊事や家計簿もそつなくこなし、寝坊の保護者を起こすことだって笑顔でできちゃいます。 そんな特技を持ったユリアンは、新しい環境にどうやって自分の場所を確保するかを考えました。 彼が思い当たったのは、父親から学んだおいしい紅茶の淹れ方です。 さっそくユリアンが心のこもった一杯を淹れると、その香りと味わいにヤンは脱帽しました。 祖母のためにユリアンが続けてきたことだから、新しい環境でも自分の居場所づくりを自然にできたのだと思います。 ところがヤン亡き後、状況が大きく変わりました。 それまでは自分1人の居場所を改善すればよかったのですが、イゼルローン革命軍全体に目を配る必要にかられます。 18歳の青年にとって、その責任はあまりに大きい。 それでもユリアンはプレッシャーに負けず、これからどうすべきか判断を下していきます。 師であるヤンの言葉を理解するために、仲間と意見を交換して努力を重ねる日々。 ユリアンはそうやって革命軍のあるべき姿を模索して、みんなをまとめていったことと思います。 そんなユリアンに対して、無責任な人達は「ヤンの姿を追うばかりで独創性がない」と否定します。 でも後見人のアッテンボローは「ユリアンは作曲家ではなく演奏家であり、作家でもなく翻訳者だ」と評したとか。 ナイスフォローですよね。 -------- これは自分の勝手な妄想なんですが…… ユリアンは、家事を仕事としては見ていなかったような気がします。 父との思い出が楽しかったから、紅茶をおいしく淹れることができた。 母に教わっていたから、きちんと料理もできた。 ユリアンにとって家事は、もういない家族との大事な対話だと認識していたのではないでしょうか。 あるとき大先輩のシェーンコップから「シチュー作りにエネルギーを消耗するなよ」と助言されたけど、家事はユリアンの気持ちを整える一種の瞑想のような物で、欠かせないアクティビティだったと感じています。 規約をよく読んで、大丈夫だと思う表現をしたのですが、もしお気づきの点があればフィードバックしていただけると幸いです。 ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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【銀英伝】ユリアン・ミンツを描いてみた|安良|note

ユリアン ミンツ

「自由回復の祭典」は3日間にわたって盛大に開催された。 キム・ホア広場のセレモニー会場は華やかに彩られ、その様子は同盟全土に対しつぶさに放映された。 ハイネセンポリスは楽奏と饗楽の夢中にあった。 それは過去の醜悪と未来の不穏をおおい隠す秀麗な帳 とばり であったが、ハイネセン住民は、いや同盟全体が、今は一時の夢を深刻に欲していた。 そんな一夜、どこか地に足のつかない饗宴の街を軽い足取りが駆ける。 ユリアン・ミンツ少年は人波をしなやかにすり抜けながら、広場入り口を目指していた。 彼が約束の場所に辿りつき、亜麻色の髪を振って周囲を見渡すと、キム・ホアの業績を記した石柱のそばに見知った逞しい人影があった。 「あれ?オイゲンさん」 彼の呼び掛けに振り返った青年……薔薇騎士連隊の一員でありユリアンの探し人の友は、軽い調子で声をあげた。 「よお、ユリアン君。 こんばんわ」 「どうされたんですか、こんな所で…」 そう言いさして、ユリアンは気づいた。 彼はいつもの軍装で小銃を下げていたのだ。 お前がわたしの性別をスッカリ忘れてたって事は」 「………スミマセン…」 少年は素直に謝罪し頭を下げた。 たしかに、これは自分で考えてもあんまりだ… 彼が視線を向けた先には、件の探し人が頬ををこわばらせて立っていたのだ。 この時レイチェルが身にまとっていたのは、深みのあるボルドーカラーのワンピース。 生地の抑えたツヤが上品であり、首元にあしらわれた繊細なレースが愛らしい。 その胸元を艶のある黒髪が流れるのは、普段は結い詰められている髪が下ろされているからだ。 この半年、共に軍属服姿で過ごしたユリアンの脳から「彼女の私服姿」が概念ごとキレイさっぱり吹き飛んでいたのは紛れもない事実だ。 しかし…… 「……閣下がな…」 そういってレイチェルはバツが悪そうな表情を浮かべ、実に深いため息をこぼした。 そんな彼女の様子を、隣のオイゲン青年が快闊に笑う。 「なあ?ユリアン君も思うだろ。 こいつの格好、マジで馬子にもいしょ「黙れや脳筋」 ふぐぅっと哀れなうめきを残し、オイゲンの言葉は中断された。 強烈な裏拳を繰り出したレイチェルの動作には一切の無駄がなく、いっそ流麗なものに見えたのがユリアンの苦笑をさそった。 自分が撃沈させた戦友に一瞥すら投げずスルーして、彼女は憮然と口を開く。 軍礼装の着付けを手伝い、細々とした手回りの品を整えたレイチェルは首をひねった。 リビングの卓上に、銀文字が箔押しされた見慣れぬ平箱を見つけたのだ。 何か出し忘れた品でもあったろうか?それとも……愛人のどなたかへの贈り物かしらん。 箱の去就を問おうと振り返った彼女に、シェーンコップは目線も向けず簡潔に言った。 開けてみろ、と。 そこには勇覇と洗練の調和があった。 ちょっと遅いけど、夏の仕着せだと思ってとっておけってさあ…」 「しきせ?」 耳慣れない言葉に、ユリアンは首をひねる 「ん。 帝国の方じゃな、家長が屋敷内の者達に布地を下賜する習慣があるんだよ。 それが夏と冬の2回。 それで使用人服とかを仕立てるんだ」 「へえ」 「でも、同盟にはそんな習慣ないんだろ?お仕着せって言っても、今は軍属服も支給されてるし、給金だって出てるんだ。 そんな必要ありませんって言ったんだけどさ…」 レイチェルは目をふせ、胸元の髪に指を絡めた。 「…でも、良く似合ってるよ?」 「そいつぁどーも」 ユリアンのごく素直な感想は、ぷいと向かれたそっぽで報われた。 彼は頬を掻いた。 こんな格好をしていると、彼女が本当に女の子みたいに見えるのだ ……いやいや、普段の少年的な振る舞いで忘れがちだが、確かに彼女は正真正銘の女の子なのだけれど。 それは彼の喉もとにひやりと冷たい手をあてるような感触を運んだ。 あれ以上は何も教えてもらえず、本人に問うことなど出来よう筈もない事柄なのだが。 「なあなあ、ユリアン!アレはなんだ!?」 呼び声に驚いて顔を上げると、レイチェルがフェスティバル会場にあふれる人波の一角を指差す。 アッチには、あんなの無かった!」 押さえきれない好奇心をめい一杯詰め込んだ金瞳が、ユリアンに向けられる。 「あれは食えるのか?どんな味なんだ?なあ、速く行こうぜ!」 そういってレイチェルは歯を剥いて笑い、彼の腕を強く引いたのだった。 アイスクリームやポップコーンを買い込んでロックバンドのライブを見たり、たわいのない雑貨やおもちゃを商う出店をひやかしたり。 レイチェルはコチラのフェスティバルは初めてらしく、始終目を見張っては驚き笑った。 ユリアンはそれをどこか微笑ましい気分で見つめ、請われるままに引き回された。 「……甘い」 「うん。 砂糖だから」 「……口の中で消える…」 「うん。 砂糖だからね」 修行僧のような面持ちで黙々と綿飴を口に運び続けた彼女が、なんだかユリアンには妙に印象的だった。 溢れる人波に乗って帰路についた二人は、警備を続けるオイゲンをねぎらい……もといレイチェルがからかった後、流れに沿って大通りを歩む。 「楽しかった!けど…けっこう遅くなっちまったな」 「そうだね。 すごい人出だから、ランドカー拾えるかなあ…」 たわいもない会話を交わしながら歩く夜道。 群衆のざわめきと比べればごく微かなその音に、彼が気づいたのはソレが耳慣れた音で……なおかつ「ココ」で聞く筈の無い音だったからだ。 その鉛だまが標的に当たると、ちょうどこんな音がする。 金瞳を見開き、全身で耳をそばだたせている。 意識を研ぎ澄ます彼の耳にもう一度、音がひらめく。 彼女の手中にもまた、ポシェットから引き出した銃があった。 どうやら火の手が上がったようだ。 これは、確かに自分達二人ではどうにもならない。 どちらかが警備部隊を誘導した方が良い。 その僅かな隙に、レイチェルは彼を置いて跳ぶように駆ける。 前へ ユリアンはその動きに、その背にあらためて痛感した。 「…っすぐに戻るから!」 レイチェルの背に投げた声に応えはなかった。 けれど、それでも良い。 背後からさらに悲鳴。 彼女を単身突っ込ませるワケには行かない。 大丈夫、そんなことはきっとしない。 夜風が耳元でうなる。 異常を察知していた部隊は十数名を即座に投入。 少年の言で速やかに現場に急行した。 しかし到着した彼らが目にしたのは、すでに消火された火炎瓶の残骸と、たこ糸で結われた安易な発射システム。 そして手に余る大型拳銃を拾い上げたレイチェルの姿だった。 「見てみろよ、下手な機械仕掛けだな。 」 頬の煤を拭い、髪を払って振り返った彼女は、オイゲンに拳銃を手渡し示す。 量産型で珍しくもないものだ。 けど、テロや暗殺目的にしてはお粗末に過ぎるだろ」 手中のソレに太い首をかしげる彼に、レイチェルは投げ捨てるように言葉を継いだ。 「だが……もしくは撹乱かもな。 他の場所でも続くかもしれないし、何よりパニックが恐い。 騒ぎが大きくなる前に警戒レベルを上げて、市民を適切に誘導する手筈を……」 そこまで言いさしたレイチェルは、不意に顔を上げオイゲンに視線を向けた 「……ああそうだ。

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