手首 骨 でっぱり。 手首に痛みが生じるキーンベック病とは?

手首の病気一覧|手の治療専門サイト【整形外科医 田中利和 公式】手・指の痛み 関節痛 曲がらない 伸ばせない ひっかかる

手首 骨 でっぱり

手首の痛みについて 手首には3本の神経が通っています。 真ん中に 正中神経、親指側に 橈骨神経(とうこつしんけい)、小指側に 尺骨神経(しゃっこつしんけい)があります。 痛みというのは何らかの原因で神経に刺激が生じている状態です。 手首の3本の神経にはそれぞれ支配領域があります。 漠然と手首が痛いというのではなく、まずは手首のどの辺りが、どのような状態の時に痛むかなど、詳しく調べてみましょう。 どの神経に刺激が生じているのかによって症状は異なり、治療法も変わってきます。 また手首にはたくさんの筋や腱・骨がありますので、どこで炎症を起こしているのかなど、素人の判断ではわかりません。 ちょっとした痛みだからすぐ治るだろうと放置せず、早めに整形外科を受診するようにしましょう。 治療は、まず安静にして手を使わないようにします。 といっても手首は思わぬ時につい使ってしまう箇所ですので、装具を使って固定します。 炎症を鎮めるためにステロイド注射をすると劇的に痛みがなくなることが多いのですが、この時に手首を使ってしまうと改善されませんので、固定して安静にしておきましょう。 これらで改善が見られない場合や再発がある場合は切開手術を行います。 手術は特殊な細いメスを使用する為、小さな傷ができますが縫う必要もない程度のものです。 手術時間は5分程度で入院の必要もありません。 キーンベック病 手首の 月状骨(げつじょうこつ)が壊死して扁平化する病気です。 手首には8つの骨がありますが、月状骨は周囲を軟骨に囲まれた骨で血行不良を起こしやすい骨です。 原因はわかっていませんが、手首をよく使う職業の方がなりやすいです。 治療は、痛みが小さく日常生活に大きく影響のない場合は装具で固定して様子をみます。 痛みが強く進行している場合は手術を行います。 手術は2種類あります。 1つは橈骨を削ることで月状骨にかかる圧を減らす方法です。 もう1つは血管束移植術です。 これは月状骨の血流を取り戻すための手術で、顕微鏡下で行います。 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん) 手首の3つの神経のうちの 正中神経が締め付けられることで、しびれや親指の脱力感を感じます。 しびれは夜間から明け方にかけて強く出る傾向にあります。 正中神経の支配領域である親指から薬指の半分までの部分でのみしびれが出ます。 治療は、痛みが強くなければ装具で固定して様子をみます。 消炎鎮痛剤やステロイド注射で効果が現れることもあります。 痛みが強い場合は手術により正中神経への圧迫を減らします。 骨折 手首にはたくさんの小さな骨があります。 それらの骨折により痛みや腫れが出る場合があります。 舟状骨骨折・有鉤骨の鉤骨折(ゆうこうこつのこうこっせつ)・橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)などがあります。 舟状骨骨折は転んで手を強くついた時に折れることが多いです。 血液の流れが悪い場所で、骨がつきにくく治りにくいです。 治療はギプスや装具を使って長期固定(6~10週間)が必要です。 これでも骨がつかない場合は手術が必要となります。 手術の方法は移植や固定など状態に合わせて相談しながら決めます。 有 鉤骨の鉤骨折 は手首にある骨の1つ有鉤骨の鉤という突起部分を骨折し、小指側に腫れや痛みを生じます。 転んで手をついた時に起こることもありますが、ゴルフクラブ・テニスのラケット・野球のバットなどを長時間振ることで生じることが多いです。 治療は固定して様子をみることもありますが、スポーツをしている場合は再発をすることもあるので、手術で骨折した骨片を摘出する方法が多いです。 レントゲンではわかりにくいこともありますので、スポーツをしている方はそのことをしっかり医師に伝え、詳細に診てもらいましょう。 橈骨遠位端骨折は高齢者に非常に多い骨折で、転倒した時に手をついた勢いで手首を骨折します。 手首を外側にして骨折した場合は Colles骨折といい、内側にして骨折した場合は Smith骨折といいます。 転倒した時に手首を内側にして手をつくことは少なく、Colles骨折の方が多いです。 骨折部にズレがなければ簡単なギプスで固定します。 ズレがある場合は手術により修復を行います。 その他の原因 その他にもガングリオンや腱鞘炎が原因という可能性も考えられます。 これらについてはこちらの記事を参考にしてみてください。 一言で手首が痛いといってもその症状は様々で、詳しく伝えないと医師も判断できかねます。 まずは痛みが出るパターンをしっかり確かめておきましょう。 大した痛みではないと放置せず、早めに整形外科で相談するようにしましょう。

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手首の骨に出っ張りがあるのは内側か外側か?痛みが生じる場合は?

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手首が痛い原因について 手首が痛いという人の原因は、まず働く人たちにつきものなのが【パソコン業務】です。 毎日何時間もキーボードを打っているために手首が炎症を起こします。 スポーツをしている中高生でも、手首をひねって痛みが出るという場合もあります。 また主婦でも、出産したお母さんであれば赤ちゃんを抱っこして 手首で支えているために痛くなります。 主婦は料理で使うフライパンや重いものを持つ時に痛む事が多いようです。 なので、手首の痛みには 人それぞれの原因があります。 外側・内側・真ん中が痛い時は? 手首の外側・内側・真ん中のどの部分が痛いかによって、原因や対処法は変わってきます。 や対処法を見ていきましょう。 繰り返し痛みが生じることが特徴で、テーピングや手首を固定して炎症を抑える治療法が一般的です。 あまりにも頻繁に再発するようであれば、整形外科で検査を受けてください。 スマートフォンの普及により患者数が増加傾向にある 手首の病気で、「狭窄性腱鞘炎」とも呼ばれます。 テーピングやサポーターで固定することや炎症止めの注射が効果的。 症状がひどい時は腱鞘の手術をすることもあります。 血行障害が起こったことで骨の細胞が壊れ、月状骨が扁平化します。 血行をよくすれば症状が改善されますが、移植手術による治療法もあります。 手首が痛いとなると手首に力を入れることも難しくなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。 手首が痛いときの対処法としては、氷などで冷やしたり、温めたタオルやカイロで温めたりします。 しかし冷やすのか温めるのかは 正しい対処法を行わなければ症状を悪化してしまう危険があるのです。 スポーツをして手首を怪我した場合の対処法は、【アイシング】などで痛めた部分をひやし炎症した部分の熱を冷まします。 捻挫した時のような対処法ですね。 パソコン業務や赤ちゃんを抱っこしているサラリーマンや主婦の手首の痛みは、 慢性的な痛みになるので、冷やすのではなく温めます。 温めることで血液の流れをよくしてリンパを流します。 手首の痛みの原因は様々になりますが、対処法も変わってくるので正しい対処法をして痛みを和らげていきましょう。

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手首や手の甲にできるコブ・しこり「ガングリオン」の原因・症状・治療方法|医師が解説

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手関節捻挫 お使いのブラウザはインライン フレームをサポートしていないか、またはインライン フレームを表示しないように設定されています。 尚、当サイトの画像等をご利用の際には、必ず「秋元接骨院HPより転用」と明示してください。 しかし、この外傷を甘く見ると後に思わぬ障害を続発させることがあります。 このページでは、手関節捻挫の構造と機能の概要、手関節捻挫に関する基礎項目、関連する傷病などについて解説します。 解剖学的に体の位置や向きを表す用語が決められています。 解説の上でも重要ですので、ここでは手関節に関係する解剖学的な位置や向きを示す用語の基本事項を解説します。 (1) 背側と掌側 手の甲(てのこう)のことを手背(しゅはい)といい、手の平(てのひら)のことを手掌(しゅしょう)といいます。 従って手の甲、すなわち手背と同じ面を背側(はいそく)といい、手の平、すなわち手掌と同じ面を掌側(しょうそく)といいます。 尚、掌側は前側と同じ意味で、また背側は後側と同じ意味となり、解剖学や医学の文献では解説場面により双方を使い分けています。 (2) 橈側と尺側 解剖学的には、手の平を正面に向けた姿勢が基本肢位となります。 従って手の外側は親指側ということになります。 しかし、手の向きは手の平を返すことで小指側が見かけ上外側に変わってしまいます。 そこで解剖学的には、手の親指と同じ側にある前腕の橈骨(とうこつ)と、手の小指と同じ側にある前腕の尺骨(しゃっこつ)を基準にし、橈骨側や橈骨方向を表す意味の橈側(とうそく)と尺骨側や尺骨方向を表す意味の尺側(しゃくそく)という名称を使用しています。 尚、文献などによっては橈側を外側、尺側を内側として解説しているものもあります。 (3) 近位と遠位 身体の四肢では、任意の位置から指先に向かう方向や、任意の位置より指先に近い側のことを遠位(えんい)といい、その逆で体幹に向かう方向や、任意の位置より体幹に近い側を近位(きんい)といいます。 手関節をよく見ると、骨の出っ張りや筋(すじ)などが観察されますが、これらが身体中の何という部分なのかが分かると、手関節の外傷や障害を診察する上で重要な判断材料になります。 この様に、体表から内部の組織の存在位置を判断する手段を体表解剖学といいます。 以下に代表的な体表解剖学的部分名称の例を挙げます。 この2本の筋の内、背側寄りの筋が長母指伸筋腱(ちょうぼししんきんけん)といい、母指を伸ばす(伸展)側に動かします。 また、もう一方の掌側寄りの筋を長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)といい、母指をじゃんけんのパーの状態に開く動作(これを外転といいます)を行う働きがあります。 これは小指を伸ばす(伸展)側に動かす腱です。 この出っ張りを尺骨頭といいます。 この尺骨頭は、尺骨の末梢側の先端にあたります。 また、この尺骨頭を 側面になぞっていくと小さな出っ張りを触れると思います。 この出っ張りを尺骨形状突起(しゃっこつけいじょうとっき)といい、靱帯の付着部になっています。 この骨隆起をリスター結節といいます。 リスター結節の尺側にある小さな溝は長母指伸筋腱の通り道となっています。 続いて橈骨の背側から橈側面になぞっていくと側方に小さく突出した骨隆起を触れます。 この突起を橈骨茎状突起といいます。 この橈骨茎状突起には橈側側副靱帯が付着します。 この皺を手首皮線(てくびひせん)といいます。 この2本の手首皮線の内、遠位側を遠位手首皮線(または伸筋皮膚線)といい、近位側を近位手首皮線といいます。 遠位手首皮線は手根中央関節と一致する皺で、近位手首皮線は橈骨手根関節と一致する皺となります。 また近位手首皮線の橈側には橈骨茎状突起を触れることができ、そこから背側面になぞっていくとリスター結節という骨の隆起を触知できます。 さらに尺側にはいわゆる「くるぶし」といわれている尺骨頭の隆起が有り、そこから尺側面になぞると尺骨茎状突起という小さな骨隆起を触れることができます。 この母指球は、手指の対立運動に働く母指対立筋(ぼしたいりつきん)と、母指を外転する短母趾外転筋(たんぼしがいてんきん)、母指を屈曲する短母趾屈筋(たんぼしくっきん)、母指の対立運動や屈曲を補助する母指内転筋(ぼしないてんきん)で構成されています。 一方、小指側にも母指球よりもやや小さいふくらみがあります。 これを小指球といいます。 小指球は、小指を外転する小指外転筋(しょうしがいてんきん)、小指を屈曲する短小指屈筋(たんしょうしくっきん)、母指との対立運動を行う小指対立筋(しょうしたいりつきん)で構成されています。 この筋を長掌筋腱(ちょうしょうきんけん)といいます。 また、そのすぐ橈側に現れる筋が橈側手根屈筋腱(とうそくしゅこんくっきんけん)です。 どちらも手関節を屈曲する作用があります。 掌側には2〜4本の皺(皮膚線)が見られますが、人により、あるいは同じ個人でも左右でその数が異なります。 この皮膚線の内、遠位の2本を特に手首皮線(てくびひせん)といい、最も遠位に位置するものを遠位手首皮線または屈筋皮膚線といい、隣接する皮膚線を近位手首皮線といいいます。 遠位手首皮線は手根中央関節の運動に一致して生じる皺で、近位手首皮線は橈骨手根関節の運動に一致して生じる皺です。 遠位手首皮線の中央よりやや橈側で皮線よりわずかに遠位に骨隆起を触知できます。 これは舟状骨の結節となります。 この舟状骨結節より若干遠位にはかなり小さな骨隆起を触知します。 こちらは大菱形骨の結節です。 遠位手首皮線の尺側端の遠位に触知できる骨隆起は豆状骨です。 その豆状骨から斜め中央へ辿ると小さな骨隆起を触知できます。 それは有鉤骨の掌側面に突出した骨隆起で有鉤骨鉤(ゆうこうこつこう)となります。 遠位手首皮線の中央から遠位方向へ骨隆起の間に溝があるのが触知できます。 この溝は手根管(しゅこんかん)と呼ばれます。 手根管は溝を形成する周囲の手根骨と、その溝の天井を成す屈筋支帯(くっきんしたい)と呼ばれる線維帯でトンネル状の通路を形成しています。 この手根管の中を正中神経や前腕から起こる手指屈筋の腱などが通っています。 余談ですが、手根骨や橈骨遠位端の骨折、あるいは手根骨の脱臼などで、この手根管の溝が狭くなったり変形した場合、あるいは手根管内に腫瘍や血腫などを生じた場合などでは手根管内の内圧が高まるため、管内を通る組織は圧迫され、正中神経麻痺などの神経障害や手部の循環・代謝障害などを引き起こすことがあります。 この病態を手根管症候群といいます。 (3) 手関節橈側の体表解剖 手関節を橈側面で見ると、母指を外転して手を開いた状態にしたときに2本の腱が浮き上がって明確に腱を観察できます。 この2本の腱の内、橈骨背側から斜めに母指に向かう腱が長母指伸筋腱、一方の橈側面で橈骨茎状突起から母指に向かっているのが長母指外転筋腱です。 長母指伸筋腱と長母指外転筋腱の間に窪みができますが、この窪みを解剖学的嗅ぎタバコ入れ(anatomical Snuff box)、あるいはスナッフボックスといいます。 スナッフボックス内の遠位手首皮線辺りで舟状骨体部を触知できます。 この部位は舟状骨骨折の限局性圧痛を触知できる部位として知られており、スナッフボックスに限局した圧痛や腫脹が出現している場合は舟状骨骨折を疑います。 高齢者や膠原病患者などでは長母指伸筋腱断裂を起こすことがありますが、断裂を生ずると右画像の様に手を開いても長母指伸筋腱が浮き上がるような腱の張りは見られず、母指は軽度屈曲して真っすぐに伸展することができなくなります。 長母指外転筋腱に好発する腱鞘炎(de Quervain 病)では、長母指外転筋腱の遠位手首皮線から近位手首皮線の辺りで圧痛や腫脹が出現し、母指を屈曲した状態で手関節を尺屈すると疼痛を誘発するフィンケルテストで陽性を示します。 手関節周囲にある骨には8個の手根骨(しゅこんこつ)、橈骨、尺骨があります。 手根骨は近位列と遠位列にそれぞれ4個ずつあります。 近位列の手根骨には、橈側から 舟状骨(しゅうじょうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、豆状骨(とうじょうこつ)があり、一方遠位列には、大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)、有頭骨(ゆうとうこつ)、有鉤骨(ゆうこうこつ)があります。 手関節は、橈骨手根関節 (とうこつしゅこんかんせつ)、手根中央関節(しゅこんちゅうおうかんせつ)の2つからなる複合関節です。 この2つの関節の複合運動により、手関節は広い可動域を得ています。 尚、尺骨は橈骨と靱帯結合(じんたいけつごう)により遠位橈尺関節(えんいとうしゃくかんせつ)を形成していますが、尺骨と手根骨との間には三角線維軟骨 (さんかくせんいなんこつ)が介在しているため、尺骨は手関節を構成する骨には含まれません。 ただし、尺骨と手根骨の間で靱帯性の連結があり、三角線維軟骨と共に手関節の運動機能に重要な役割を担っています。 (1) 橈骨手根関節(とうこつしゅこんかんせつ) 橈骨手根関節は近位手根関節とも言われ、橈骨と三角線維軟骨複合体の関節円板で関節窩(かんせつか)を形成し、一方の関節頭(かんせつとう)を手根骨の近位列の舟状骨、月状骨、三角骨で構成 する関節です。 文献によっては橈骨関節面と接触しない三角骨を橈骨手根関節に含まない場合がありますが、三角線維軟骨複合体の関節円板を関節構成体に含んで考えると、三角骨と関節円板との間で、その接触面が関節運動を行っています。 この凸面を形成する側を関節頭といい、一方の凹面を形成する側を関節窩といいます。 この様な凸面と凹面による連結は、関節面の接触面積を大きくし、また関節連結の安定性を高めています。 (2) 手根中央関節(しゅこんちゅうおうかんせつ) 手根中央関節は遠位手根関節とも言われ、手根骨の近位列の舟状骨、月状骨、三角骨と、手根骨の遠位列の大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨との間で構成される関節です。 近位列の舟状骨、月状骨、三角骨で凹形を形成し、手根中央関節の関節窩の役割を担います。 一方の遠位列は、特に小菱形骨、有頭骨、有鉤骨で近位列の凹形に適合する凸形を形成し、手根中央関節の関節頭の役割を担います。 右手関節を橈側より見たレントゲン写真 右手関節背側からみたレントゲン写真正面像 (3) 手の運動に係わるその他の関節 手関節の運動に係るその他の関節には、手根骨近位列間や手根骨遠位列間の隣接する手根骨で形成する手根骨間関節(しゅこんこつかんかんせつ)や、種子骨である豆状骨と三角骨との間の運動を行う豆状三角骨関節(とうじょうさんかくこつかんせつ)、手のひらを返す運動を行う遠位橈尺関節(えんいとうしゃくかんせつ) と近位橈尺関節(きんいとうしゃくかんせつ)があります。 手根骨間関節は、近位列の舟状骨と月状骨間、月状骨と三角骨間、遠位列の大菱形骨と小菱形骨間、小菱形骨と有頭骨間、有頭骨と有鉤骨間のそれぞれ隣接する手根骨間の関節のことで、僅かなスライド運動や離開、回旋など行って、手関節運動や手指の運動を補助しています。 豆状三角骨関節は、尺側手根屈筋の種子骨として存在している豆状骨が、尺側手根屈筋の腱の運動に連携して僅かな可動をする関節です。 遠位橈尺関節は手の関節では無く前腕の関節で、肘に近い近位橈尺関節と連携して前腕の回旋運動を担います。 前腕の回旋運動とは、手の平を返す運動で、回旋方向により回内 (かいない)、回外(かいがい)といいます。 この動作を前腕の回外といい、左画像の回外位の状態が最大回外位になります。 逆に左画像の 回外位姿勢から右画像の回内位姿勢へ手のひらが動いた場合。 この動作を前腕の回内といい、右画像の回内位状態が最大回内位の状態になります。 尚、真ん中の画像の手のひらが垂直になった状態を中間位といいます。 前腕の回旋運動の可動域は、それぞれ中間位より回外位へ90゚、中間位より回内位へ85゚が正常値です。 (画像右では、90゚に見えますが、体から肘が離れたために見かけ上90゚に達しています。 個人差はありますが、一般的に肘を体にしっかり着けた状態で行うと、ほとんどの方が85゚ぐらいとなります。 ) 手関節を構成する橈骨、尺骨、手根骨の連結を担う靱帯は、その存在位置の観点から背側靱帯、掌側靱帯、手根骨間靱帯の3つに大別されます。 尚、手関節の靭帯や手根骨間の靱帯は 、手部に分布する関節包などのその他の線維組織と共に、非常に小さな範囲にびっしりと張り巡らされているため、個々の靱帯を特定するのがたいへん難しい作業である上に、人によ ってその走行や形状が様々であるため、文献により記載情報が様々で統一されていない状況です。 従ってここでは比較的多くの文献で標準的に表記されている靱帯の解説に留めます。 尚、 文献により尺側手根側副靱帯や内側側副靱帯と記載されている場合があります。 また背側線維は後部線維ともいわれています。 また、さらに大菱形骨や第1中手骨へ線維が伸びているため、それらを含めて外側側副靱帯と呼ばれることもあります。 尚、 文献により橈側手根側副靱帯と記載されている場合があります。 また、背側線維は後部線維ともいわれています。 橈骨舟状骨線維束 橈骨と舟状骨の間を支持する靱帯で、背側橈骨手根靱帯の中では最も外側に位置しています。 橈骨月状骨線維束 橈骨と月状骨の間を支持する靱帯で、背側橈骨手根靱帯の中央に位置します。 橈骨三角骨線維束 橈骨と三角骨の間を支持する靱帯で、背側橈骨手根靱帯の中では最も内側に位置する線維束です。 文献によっては背側手根横走靱帯と記載されているものもあります。 また、三角骨と鉤状骨の間には三角鉤状靱帯 (さんかくこうじょうじんたい)が付着しています。 橈骨と尺骨の間には背側橈尺靱帯(はいそくとうしゃくじんたい)が遠位橈尺関節の背側を補強しています。 尚、 文献により尺側手根側副靱帯や内側側副靱帯と記載されていることがあります。 また掌側線維は前部線維ともいわれます。 外側手根側副靱帯の背側線維と比較して、掌側線維は厚みがある強靭な靱帯です。 尚、 文献により橈側手根側副靱帯や外側側副靱帯と記載されていることがあります。 また掌側線維は前部線維ともいわれています。 橈骨舟状有頭骨線維束 (橈骨舟状有頭骨靱帯) 橈骨と舟状骨・有頭骨の間を支持する線維束で、掌側橈骨手根靱帯の中で最も外側に位置します。 橈骨舟状有頭骨靱帯 (とうこつしゅうじょうゆうとうこつじんたい)は手関節の中でも最も重要な靱帯の1つで、舟状骨の運動をコントロールする役割を持つとされています。 この靱帯が外傷などにより断裂すると舟状骨の遠位端が掌側に回転した状態で脱臼(舟状月状骨解離-舟状骨回転亜脱臼)を起します。 長橈骨月状骨線維束 (長橈骨月状骨靱帯) 掌側において橈骨と月状骨の間を結ぶ靱帯の内、外側のやや長い靱帯が長橈骨月状骨靱帯(ちょうとうこつげつじょうこつじんたい)です。 文献によってはその線維が三角骨まで達して 、橈骨三角骨靱帯(とうこつさんかくこつじんたい)となっている場合があります。 骨格を構成する組織は個人により違いがあることは珍しくないことで、そのような靱帯構成をしている場合もあるようです。 短橈骨月状骨線維束 (橈骨月状骨靱帯) 橈骨と月状骨の間を結ぶ線維束で、掌側橈骨手根靱帯の中では最も内側に位置する比較的短い線維束です。 この靱帯は橈骨手根関節の関節包(かんせつほう)内部 で橈骨手根靱帯の中では比較的深層に位置します。 一般的に背側には尺骨手根靱帯に相当する靱帯が無いため、掌側を明記せず単に尺骨手根靱帯と表記している文献もあります。 この靱帯は以下の三部で構成されています。 尺骨有頭骨線維束(尺骨有頭骨靱帯) 尺骨遠位端掌側面から有頭骨掌側面を結ぶ線維束です。 この靱帯は比較的強靭な靱帯で手根中央関節を補強し、その運動に関与します。 尺骨三角骨線維束(尺骨三角骨靱帯) 尺骨遠位端掌側面内側から三角骨掌側面を結ぶ線維束です。 この靱帯は内側手根側副靱帯掌側線維と平行するように位置し、三角線維軟骨複合体(TFCC)を構成する靭帯として知られています。 尺骨月状骨線維束 (尺骨月状骨靱帯) 尺骨遠位端掌側面外側から月状骨に付着する比較的短い靱帯です。 尺骨三角骨線維束と共に三角線維軟骨複合体(TFCC)を構成する靭帯として知られています。 手根中央関節の運動に関与し、またその支持性を高める役割があります。 文献により放線状手根靱帯と記載されている場合や、 三角靱帯と記載される場合があります。 また、外側線維束を舟状有頭骨靱帯、内側線維束を有頭三角骨靱帯として個々の固有名で記載されている場合があります。 その他に手根中央関節の動きの制御と支持性向上のために、外側には舟状大菱形骨靱帯があり、一方内側には三角有鉤骨靱帯があります。 尚、月状骨近位辺縁には靱帯が密に付着していますが、遠位辺縁にはほとんど靱帯の支持が無く力学的弱点となっています。 この靱帯支持の無い部分は掌側だけでは無く、背側や深部においても同様で、この力学手的ウィークポイントともいえる部分をPoirier空隙といい月状骨周囲脱臼の多い理由として指摘されています。 (3) 手根骨連結深部に位置する手根間靱帯 手の骨格を縦割りにして深部を観察した略図が右図となります。 近位手根骨間では、舟状骨と月状骨間、および月状骨と三角骨間を結ぶ骨間手根間靱帯があります。 また、遠位手根骨間では、小菱形骨と有頭骨間、及び有頭骨と有鉤骨間に骨間手根骨間靱帯があります。 ただし、大菱形骨と小菱形骨間には、ほとんどの文献で記載が無く、深部には大菱形骨-小菱形骨間の骨間手根間靱帯は無いようです。 従ってこの手根骨間では、やや表層に位置する骨間手根間靱帯掌側線維と背側線維で連結を維持しています。 深部では、近位列と遠位列を結ぶ靭帯は外側側副靱帯と内側側副靱帯に限られ、特に月状骨と有頭骨、舟状骨と有頭骨間の靭帯が無いため、他の手根骨間の連結と比較して脆弱であり、舟状骨回転亜脱臼や月状骨周囲脱臼などを生ずる間接的要因といえます。 特に月状骨、有頭骨間は表層での連結も乏しいためにPoirier空隙と呼ばれる力学的ウィークポイントとなっています。 尺骨と手根骨の間には三角線維軟骨複合体があります。 この組織は、尺骨遠位端関節面の遠位に位置し関節円板を形成する三角線維軟骨と、尺骨茎状突起の遠位に位置し半月様軟骨を形成するメニスカス類似体を靱帯性線維で連結した複合体組織で、橈骨遠位端関節面と共に橈骨手根関節の関節窩を形成し、その運動の円滑性と緩衝性を高める役割を果しています。 三角線維軟骨は、右図縦断面では薄く平たい束に見えますが、横断面で見ると三角形やそれに近い楕円形の円板を形成しています。 また、三角線維軟骨は、その橈側で遠位橈尺靱帯の一部からなる線維で橈骨と結合し、尺側は尺骨茎状突起とメニスカス類似体に結合しています。 メニスカス類似体は、一般的に立体半月形、あるいはやや三角柱状の形状をした線維軟骨で、また人によっては不整形な形状を呈するものもあります。 メニスカス類似体はその遠位で内側手根側副靱帯の一部からなる線維で三角骨と結合し、近位で尺骨茎状突起と三角線維軟骨に結合しています。 手関節の運動は橈骨手根関節と手根中央関節の複合運動から成り、基本動作は背屈、掌屈、橈屈、尺屈の4つとなります。 また前腕の橈尺関節による回旋運動が加わることで、かなり複雑な運動が可能になっています。 (1) 背屈と掌屈運動 手関節を背側へ曲げる動作を背屈(はいくつ)といい、掌側へ曲げる動作を掌屈(しょうくつ)といいます。 日本整形外科学会の関節可動域参考角度では、背屈0〜70゚、掌屈0〜90゚とされています。 即ち一般的な最大可動角度は背屈70゚、掌屈90゚となっています。 実際にはその最大可動角度は、自動運動で背屈 、掌屈共に80゚前後が最も多く見られる可動域です。 また他動的に押し付けると90゚以上曲げられることがほとんどです。 この背屈と掌屈運動の可動域は、橈骨手根関節と手根中央関節の複合運動により得られるもので、例えば最大可動域を80゚とすると、背屈運動では橈骨手根関節が可動域全体の約41%の33゚、手根中央関節が約59%の47゚の可動性を受け持っています。 一方、掌屈運動では、橈骨手根関節が可動域全体の約59%の47゚、手根中央関節が約41%の33゚を受け持っており、その比率が逆転しています。 以下に体表から見た手関節の掌屈・背屈運動可動域と、解剖学的に骨格の動きから見た橈骨手根関節と手根中央関節の掌屈・背屈運動の様子を図解しています。 体表からみた可動域の計測では橈骨と第2中手骨を基準とします。 一方、エックス線などにより実際の骨格で運動可動性を見る場合は橈骨、月状骨、有頭骨を基準に観察します。 (2) 橈屈と尺屈運動 手関節を橈側へ曲げる動作を橈屈(とうくつ)といい、尺側へ曲げる動作を尺屈(しゃっくつ)といいます。 日本整形外科学会の関節可動域参考角度では、橈屈0〜25゚、尺屈0〜55゚とされています。 臨床的にもこの可動範囲はほぼ同様です。 ただし、この可動範囲は背屈、掌屈0゚の位置でのもので、背屈もしくは掌屈するほど靱帯の緊張により 、この橈屈、尺屈の可動範囲は制限されます。 右図のように、橈屈動作では舟状骨が橈骨関節面との接触により制限されるため橈屈の可動域は尺屈よりも著しく狭くなっています。 手関節捻挫は、手を突く、引っ張る、押す、重いものを持ち上げるなどの動作で、過剰な背屈や掌屈、あるいは尺屈や回旋を強いられた時に起こります。 手関節を構成する靱帯は比較的強力なため、少々の外力で捻挫をしても回復が早い場合が多いのですが、強い外力や衝撃による損傷では靱帯断裂を伴った手根骨の配列異常を起こしたり、手根骨脱臼や靱帯付着部の剥離骨折(はくりこっせつ)などを起こします。 手関節捻挫を発生幾転により大別すると、背屈捻挫(はいくつねんざ)、掌屈捻挫(しょうくつねんざ)、尺屈捻挫(しゃっくつねんざ)に分けられます。 また、これらの発生幾転で、骨折や脱臼、関節軟骨損傷などを生ずることもあり、単純捻挫との鑑別診断が重要となります。 以下に発生機転から分類した手関節捻挫について解説します。 転倒などで手を突いて手関節が背屈強制されたとき、あるいはバーベル運動や重い荷物などを持ち上げる動作で手関節が過背屈されたときなどに起ります。 過背屈により掌側橈骨手根靱帯や月状有頭骨靱帯が過伸展損傷されます。 さらに靱帯が過伸展されて断裂を生ずると、舟状骨の亜脱臼や月状骨周囲脱臼を起すこともあります。 また、転倒して手を突いたときに手関節の背屈角度が90度以上に背屈強制されると橈骨遠位端背側縁と舟状骨が衝突し、舟状骨骨折や橈骨遠位端部骨折を生ずることもあるので、骨折の合併に注意が必要です。 その他に、手関節背屈捻挫時に尺側に圧力や捻転力が加えられた場合の外傷性TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷などが上げられます。 以下に手関節背屈捻挫により生ずる病態の種類とその症状や治療法などについて解説します。 尚、手関節背屈捻挫による外傷性TFCC損傷については、手関節尺屈捻挫の項で解説します。 (1) (しょうそくとうこつしゅこんじんたいそんしょう)と骨間手根間靱帯損傷 (こっかんしゅこんかんじんたいそんしょう) 病態 手関節の過背屈により掌側橈骨手根靱帯(しょうそくとうこつしゅこんじんたい)が過伸展されます。 また、手関節背屈位で地面や床などに手を突いて痛めると、手を突いた衝撃と橈骨を介して加わる体重の圧力により近位手根骨の骨間が押し広げられて舟状月状骨間や月状三角骨間などの骨間手根間靱帯 (こっかんしゅこんかんじんたい)が引き伸ばされます。 靱帯が引き伸ばされても、微細な損傷や僅かな部分断裂に留まれば、単純な捻挫となります。 著しい靱帯断裂を生ずると、舟状月状骨間解離による舟状骨回転亜脱臼や月状骨周囲脱臼、あるいは月状骨脱臼を起します。 症状 単純な捻挫の場合は、手関節背屈時の疼痛、手関節掌側の橈骨手根関節間隙や舟状骨結節周囲の圧痛、及び腫脹が観察されます。 患部の舟状骨結節に検者の母指を置き、手首を掴むように把持した状態で、母指で舟状骨を背側へ押しながら手関節を尺屈・橈屈の繰り返しをすると、舟状骨にクリック音を触知し、疼痛を訴える場合は舟状月状骨間解離の疑いがあります。 また、検者の両手で患部の舟状骨と月状骨をそれぞれ掴むように把持し、舟状骨を掌側から背側へ押し上げた時に、舟状骨が背側へ逸脱するような動きと共に患者が疼痛を訴える場合も舟状月状骨間の靱帯(SL靱帯)が断裂し、舟状月状骨間解離の疑いがあります(Scapholunate ballotment test)。 治療と予後 包帯、副子による固定を1週〜10日ぐらい施行します。 受傷から4〜5日は湿布や消炎鎮痛剤の投与も有効です。 固定を除去した後も負傷日から起算して2〜3週は重いものを持ったり、力を使うような動作は禁忌で、それ以外の軽い日常動作で違和感無く動かせるようになるまで様子を見ることが肝心です。 著しい靱帯断裂や舟状月状骨解離などの疑いがある場合は、整形外科で画像検査を要します。 予後は良好で、1ヶ月以上経過しても手関節運動に著しい支障があるようならば手根不安定症や手根骨の亜脱臼などを疑います。 手関節捻挫の包帯固定の一例 (2) (しゅうじょうげつじょうこつかんかいり) 病態 舟状骨と月状骨の間を連結する舟状月状骨靱帯の断裂により、舟状骨が亜脱臼して舟状骨と月状骨の間隔が異常に解離した状態です。 舟状月状骨靱帯の断裂のみでは、解離の程度が小さく明確な症状が現れないため捻挫として診断されることがあります。 しかし、舟状月状骨靱帯の断裂に加えて橈骨舟状有頭骨靱帯の断裂を生ずると、舟状骨の遠位端が掌側へ回転した状態で亜脱臼を起します。 症状 舟状骨と月状骨間に圧痛があり、患側の舟状骨結節は健側と比較して掌側へ突出しており、その突出した舟状骨結節を背側方向へ押し付けた状態で手関節の橈屈-尺屈運動を繰り返すとポキポキと轢音(れきおん)を触知します (Scaphoid shift test)。 また、手関節運動に際し舟状骨の弾発現象が観察されることがあります。 X線検査では、側面像で舟状骨の近位端が掌屈し、一方の月状骨が背屈した画像が見られ、舟状骨と月状骨の長軸線でなす角(SL角)が70度以上を呈します。 正面像では舟状骨と月状骨の間隙が正常よりも開いていることが観察されます。 また、舟状骨は正常な場合と比較して正面像では短縮して見え、舟状骨近位に輪のような輪郭がくっきりと現れます。 これは舟状骨の掌屈偏位により舟状骨結節部分がこの様に画像に描出されるためで、皮質骨のリング像(cortical ring sign)といわれます。 治療と予後 治療は整形外科により行われます。 掌屈した舟状骨を徒手整復した位置でK-ワイヤー(Kirschner鋼線)による固定をする場合と、手術による靱帯修復が施行される場合があります。 また、捻挫と診断されて数ヶ月以上見逃されていた陳旧例では、着脱可能な固定装具で運動方向の制限をした上で、対症療法を中心とした治療が処方され、経過を観察します。 固定装具療法など手術によらない方法で経過観察を行った場合では、治療の効果で疼痛の消退や手関節の運動機能の改善が得られるようであれば、日常生活動作がある程度可能になるまでの間、整形外科の管理下で、リハビリテーション科や接骨院などによる理学療法が施行されます。 一方、機能回復の得られない陳旧例や、スポーツの復帰を希望する場合などでは整形外科にて手術 による靱帯再建が施行されます。 また、かなり長期間放置されて変形性関節症を生じている場合で、疼痛や機能障害による著しい苦痛を訴える場合は、関節固定術や手根骨近位列摘出術などの手術的処置が選択されることもあります。 予後は、受傷して直ぐに適切な処置が成されていれば比較的良好です。 一方、陳旧例では変形性関節症に至る確率が高くなり、慢性的疼痛や手関節機能不全に陥ることがあります。 (3) (げつじょうこつしゅういだっきゅう)と月状骨脱臼(げつじょうこつだっきゅう) 病態 手関節背屈位で手掌を突いた際に、月状骨を連結する靱帯を損傷し、有頭骨が遠位手根列を伴って背側に脱臼した状態を月状骨周囲脱臼といいます。 この時、月状骨はやや掌屈しつつも、ほぼ正常位置に残っています。 一方、同様の外傷で月状骨が 有頭骨に押し出されるようにして掌側に脱臼し 、有頭骨がほぼ橈骨と並列する位置に残った状態が月状骨脱臼となります。 月状骨周囲脱臼は、舟状月状骨間靱帯の損傷に、月状骨と有頭骨間の関節包や月状骨と三角骨間の靱帯の損傷が加わることで起こります。 また、月状骨脱臼はさらに背側橈骨手根靱帯の損傷が加わることで起こります。 症状 手根部を中心とした手関節の腫脹と疼痛、手根中央部及びその周囲の圧痛、手関節の可動域制限などが観察されます。 レントゲンによる側面像では、中手骨-有頭骨-月状骨-橈骨のアライメントを観察し、月状骨と橈骨の位置関係は正常だが、有頭骨が背側へ逸脱(有頭骨背側脱臼)している場合、月状骨周囲脱臼と診断されます。 一方、月状骨が橈骨や有頭骨との位置関係より掌側へ逸脱(月状骨掌側脱臼)した場合が月状骨脱臼(月状骨掌側脱臼)と診断されます。 治療と予後 治療は整形外科にて施行されます。 脱臼した有頭骨、もしくは月状骨を徒手的に整復しK-ワイヤーなどで固定する場合と、靱帯修復術などの手術的治療を施行される場合があり、状態に応じて選択されます。 徒手整復では、月状骨周囲脱臼で有頭骨が背側に脱臼している場合は、患側の肘を直角に曲げた姿勢で上腕を固定し、2指(人差し指)と3指(中指)を長軸方向に時間を掛けて持続牽引する方法で施行されます。 この時、背側に脱臼した有頭骨を徒手的に押し込む操作や、有頭骨を圧迫しつつ手関節を背屈して整復する操作が施行されることもあります。 一方、月状骨掌側脱臼の場合は、上記と同様の持続牽引をしながら掌側に脱臼した月状骨を押し込む操作や、月状骨を圧迫しつつ手関節を掌屈して整復する操作などが施行されます。 これら徒手整復で脱臼した手根骨が整復されれば、K-ワイヤーなどによる経皮的固定や副子もしくはギブスによる外固定で、保存的に治療が施行されます。 徒手整復が不可能であった場合は、手術による整復と靱帯修復術が施行されることになります。 予後は、受傷直後より適切に処置が施行されていれば比較的良好で日常生活上は問題無い状態に回復します。 しかし、整復処置を受けるまでに1週間以上経過している場合は、整復処置が困難になることが多く慢性的疼痛や機能不全などの後遺症が残り、その後変形性関節症に至るものが多いようです。 (4) (けいしゅうじょうこつげつじょうこつだっきゅう) 病態 月状骨周囲脱臼に舟状骨骨折が伴ったものを経舟状骨月状骨周囲脱臼といいます。 接頭文字の経は骨を縦断 、もしくは縦断する線、すなわち骨折や骨折線を意味しており、英語では横断や横切るなどを意味する「trans」が接頭語として着いています。 (trans-scaphoid perilunate dislocation) 月状骨周囲脱臼では月状骨が橈骨遠位端関節面との位置関係を保持した状態、即ちほぼ正常な位置にあり、有頭骨が月状骨に乗り上げるように背側に脱臼しています。 尚、月状骨脱臼に舟状骨骨折を伴った場合は、経舟状骨月状骨脱臼といいます。 その他に橈骨茎状突起骨折を合併した経橈骨月状骨周囲脱臼や経橈骨月状骨脱臼、あるいは橈骨茎状突起骨折・舟状骨骨折・三角骨骨折を伴った複合損傷の経橈骨経舟状骨経三角骨月状骨脱臼などの症例があります。 症状 月状骨周囲脱臼の症状に加えて、スナッフボックスに舟状骨の限局性圧痛を触知し、著しい腫脹が観察されます。 レントゲンでは、中手骨、有頭骨、月状骨、橈骨の正常なアライメントから有頭骨が背側に逸脱した状態と、舟状骨の骨折像の合併が確認されて、経舟状骨月状骨周囲脱臼と診断されます。 治療と予後 舟状骨の骨折部分は転位を起していることが多く、月状骨周囲脱臼に伴う靱帯断裂があると、骨折により転位した舟状骨は非常に不安定となる上に、舟状骨近位骨折片は血行遮断による壊死に陥るため、偽関節 (ぎかんせつ)を起します。 従って、 靱帯修復術に加えて骨折部分の手術的固定が必要となります。 固定期間は舟状骨の骨折位置により左右されます。 予後は後遺症を生ずることがほとんどで、慢性的疼痛や関節症性変化などの後遺症が残存し、重度の変形性関節症に至ることも多いようです。 手関節掌屈捻挫の発生確率は、背屈捻挫と比較して極めて少ないタイプです。 主に手を握り締めた状態で手関節を過度に掌屈して捻挫を生ずるケースが多く、空手の突き、バーベル運動や鉄棒、サンドバッグによるパンチングなどの際に見られます。 特に手関節をバンテージやサポーターなどで保護せずに行ったときに発生確率が高まります。 また、レスリングや柔道などの格闘技で関節技を決められて損傷するケースやバスや電車の扉に挟まれた際に手関節の掌屈強制を生じて損傷したケースもあります。 手関節掌屈捻挫の症状は、多くは手関節背側の圧痛や腫脹を認め、手関節掌屈で疼痛を誘発します。 靱帯や関節包の部分損傷があると皮下出血と腫脹が顕著に出現します。 靱帯損傷や関節包損傷の著しい場合は、月状骨背側脱臼や手根不安定症を生じた症例の報告もありますが極めて稀です。 また、手関節掌屈捻挫を起因としたガングリオンの発症や、若年者の月状骨損傷が見られることもあります。 特に若年者の月状骨損傷は見逃されることが多く、後に月状骨軟化症に至る症例が有るので注意が必要です。 従って、月状骨に一致した腫脹や限局性圧痛が2週間以上続く場合は、整形外科による慎重な経過観察が重要となります。 (1) (はいそくとうこつしゅこんじんたいそんしょう) 病態と症状 手関節の掌屈を強制されたときに背側橈骨手根靱帯が過伸展されて損傷した状態をいいます。 手関節の背側の月状骨部や橈骨遠位端に圧痛や手関節掌屈時の疼痛誘発などが見られます。 腫脹や皮下出血が無ければ比較的速やかに回復しますが、皮下出血や腫脹が著しいものでは、橈骨手根靱帯の断裂が疑われます。 治療と予後 軽度の捻挫では1週間ぐらいの包帯や副子による手関節の良肢位固定を施行し、その後1週ぐらいは包帯のみの簡易固定かサポーターの施行で治癒します。 靱帯損傷が著しい場合は、手関節軽度背屈位でギプスや副子による固定を3〜4週固定します。 また、複数の靱帯損傷が存在し 、手根不安定症や手根骨解離などの恐れがある場合は整形外科による靱帯修復手術が施行されます。 一般的に手関節掌屈捻挫は、軽度なことが多く予後は良好です。 しかし、極めて稀ですが、損傷の程度が比較的重度で、掌屈動作が困難なものや、見た目は軽度でも疼痛や腫脹が何時までも軽減しない症例では、手根不安定症や月状骨軟化症(げつじょうこつなんかしょう)などの後遺症を引き起し、慢性的経過に至るものもあります。 (2) (げつじょうこつはいそくだっきゅう) 手関節掌屈捻挫で、月状骨を支持する背側橈骨手根靱帯(特に橈骨月状骨線維束)の損傷に加えて、舟状月状骨間や月状三角骨間の骨間手根靱帯など複数の靱帯が損傷し、月状骨が背側へ押し出されるように脱臼する損傷です。 病態と症状 手関節背側に月状骨の突出による膨隆が観察され、手関節は持続性疼痛(脱臼痛)を生じ、掌屈位姿勢のまま動かせない状態になっています(弾発性固定)。 診断は整形外科によるレントゲンなどの画像検査で確定されます。 治療と予後 治療は整形外科にて脱臼の整復や靱帯修復術など手術的な処置が施行されます。 術後も3週程度の外固定が行われ、その後リハビリとなるようです。 予後は不良であることが多く、整形外科では、変形性関節症に至るものや、月状骨の軟化症に至るケースの報告があるようです。 外力により手関節を過剰に尺屈強制されたときに起こる捻挫です。 前腕中間位の状態で何らかの外力により手関節の尺屈を強制された時に、手関節の橈側の靱帯や腱などが引き伸ばされて、橈骨手根関節の単純捻挫や、長母指外転筋腱及び短母指伸筋腱の損傷、あるいはそれらの腱鞘の損傷を生じます。 また、尺屈強制時に三角線維軟骨複合体 の圧迫損傷を生じる場合もあります。 原因としては、バレーボールの片手レシーブ、石やレンガなどを積み上げる手作業、大きなハンマーを振り上げる作業、柔道などの格闘技による関節技 、野球やゴルフなどボールを打つ動作時の損傷などによる発生が見られます。 手関節橈側の靱帯や腱を痛めた場合では、手関節橈側の圧痛や腫脹が見られ、手関節尺屈で手関節橈側の疼痛を誘発します。 顕著な皮下出血や腫脹が橈側のスナッフボックスに見られる場合は舟状骨骨折を疑います。 また、橈骨茎状突起に限局性圧痛や腫脹を見る場合は、橈骨茎状突起の剥離骨折や、成長期ならば骨端線離開を疑います。 一方、手関節尺側の圧痛や腫脹が見られ、手関節尺屈で手関節尺側の疼痛を誘発する場合は、三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷を疑います。 短母指伸筋腱や長母指外転筋腱の腱鞘(けんしょう)辺りに腫脹や捻髪音、フィンケルステインテスト陽性などを示す場合は、狭窄性腱鞘炎(de Quervain病)を疑います。 この場合は、捻挫を生ずる前から長母指伸筋腱や長母指外転筋腱に少なからず痛みを感じていた患者や、すでに狭窄性腱鞘炎に罹患している患者が、手関節尺屈捻挫により腱鞘炎の悪化や再発を生じたもので、捻挫はあくまでも腱鞘炎を誘発した発生幾転と言えます。 中高年以降では、母指CM関節の変形性関節症、あるいは大菱形舟状骨関節症や橈骨手根関節症などの変形性関節症の存在により、僅かな外力の手関節尺屈捻挫で疼痛や腫脹が悪化する場合があります。 橈骨遠位端関節面に対する尺骨遠位端の位置関係の相違、即ち尺骨バリアンスが手関節の障害に係わることがあります。 一般的に橈骨の遠位端関節面の尺骨と隣接する部分は尺骨の遠位端とほぼ同じ位置(相違無しの状態)にあります。 この状態を尺骨ゼロバリアンス(ulnar zero variance または neutral ulnar variance)といい、構造的にバランスの取れた状態といえます。 尺骨遠位端が隣接する橈骨遠位端関節面よりも遠位に突出している場合は、尺骨プラスバリアンス(ulnar plus variance または positive ulnar variance といいます。 この場合、突出した尺骨遠位端により三角線維軟骨複合体(TFCC)の損傷を生じやすい傾向があります。 また、一度痛めると慢性的疼痛の原因となることがあります。 整形外科では、尺骨プラスバリアンスが原因と考えられる手関節尺側痛や慢性的経過を示すTFCC障害の場合、尺骨の長径を短くする手術を施行して問題を解決する治療が選択されます。 尺骨遠位端が隣接する橈骨遠位端関節面よりも近位に後退している場合は、尺骨マイナスバリアンス(ulnar minus variance または negative ulnar variance)といいます。 尺骨マイナスバリアンスでは手関節の反復運動や作業などで月状骨軟化症(キーンベック病)を生じやすいといわれています。 また、捻挫などで月状骨を圧迫損傷しやすく、外傷後関節症や捻挫による月状骨の微細な損傷から月状骨軟化症を続発する確率が高くなるともいわれています。 TFCC(三角線維軟骨複合体)は、手関節尺側にある尺骨手根靭帯、橈尺靭帯、三角線維軟骨(TFC)、軟骨様組織(メニスカス類似体:MH)、尺側側副靭帯などで構成されている複合組織をいいます。 また、TFCCの本体であるTFCは、円板状軟骨固有部を中心に、橈側は三角線維靭帯で橈骨と連結しており、また尺側は近位で三角靭帯により尺骨小窩と連結し、尺側側副靱帯により尺骨茎状突起と連結しています。 一方、遠位では尺側側副靱帯と共に三角骨に連結しています。 TFCCは、橈骨手根関節において、橈骨遠位端関節面を補足するように位置し、肩関節の関節唇や膝関節の半月板などの様に、関節窩としての機能を向上し、関節の適合性を高め、衝撃を緩衝するなどの役割があります。 外傷性TFCC損傷では、主に手関節背屈捻挫で尺側に圧力や捻転力の掛かる外力により損傷しますが、手関節尺屈捻挫でも急激な尺屈、あるいは尺屈方向へ重い負荷が掛かる外力や、反復する尺屈動作の何れかによりTFCCを損傷します。 尚、TFCC損傷は外傷の他、労働やスポーツによる疲労性障害や、加齢などの経年変化による変性障害として起こるものがあります。 ここでは外傷性TFCC損傷に限定して取り上げます。 病態別分類 外傷性TFCC損傷は、その損傷部位により遠位裂離、中央損傷(中央穿孔)、橈側裂離、尺側裂離、などに分類されています。 遠位裂離は、尺骨手根靱帯の月状骨付着部や三角骨付着部付近での靭帯裂離損傷で、TFCと手根骨間の連携性が損なわれ手関節運動に影響を及ぼします。 橈側裂離は、TFCの三角線維靱帯が橈骨付着部付近で裂離損傷を生じたもので、外傷性TFCC損傷の中では発生率が比較的高く、損傷しやすい部位といえます。 中央損傷(中央穿孔)は、TFCの関節円板本体や、三角線維靱帯との連結付近で生ずる損傷で、穿孔状の欠損を生じます。 尺側裂離は、尺側側副靱帯や三角靭帯の尺骨付着部付近に生じた靭帯裂離損傷、若しくは尺骨茎状突起の裂離骨折を生じた状態をいいます。 症状 手関節尺側の腫脹や圧痛を認め、前腕の回内・回外運動や手関節の尺屈・掌屈運動で疼痛が誘発されます。 また、尺骨頭ストレステストで疼痛が誘発されて陽性を示す場合は、かなり高い確率でTFCC損傷の存在が証明されます。 治療と予後 包帯・副子やサポーターによる固定と、湿布など消炎鎮痛剤の投与で経過を観察します。 1〜2ヶ月の固定処置で症状が回復傾向であれば、作業時や運動時のサポート程度に切り替え、必要に応じて低周波や超音波療法などの理学療法を加えます。 一方で2ヶ月以上経過しても回復が見られない場合や初期症状が重度の場合は、整形外科による手術が検討されます。 外傷性TFCC損傷の場合の手術は、損傷部分の修復手術が主となりますが、橈骨に対して尺骨が末梢へ長く突出した形状を呈している場合は、反復性の損傷や慢性痛(尺骨手根骨突き上げ症候群)の原因となることが有り、尺骨短縮手術が施行されることもあります。 予後は比較的良好ですが、尺骨の形態的異常の存在などでは、それが改善されなければ慢性的経過に陥ることが多いようです。 また、経年変化によるTFCC損傷の発症や関節症性変化を生じて、手関節や前腕の運動可動域に障害を生じたり、慢性痛に悩まされるケースも見られます。 重いものを持ち上げる時や、大きなハンマーなどで作業する時に、その重量物を握り、母指を屈曲した状態で強く尺屈強制された場合や、橈屈-尺屈を過剰に繰り返した場合に、長母指外転筋腱や短母指伸筋腱が過伸展されたり、 腱鞘(けんしょう)との間で擦れて腱や腱鞘を挫滅して痛めます。 また、繰り返し痛めて腱鞘が肥厚し、腱の通路が狭窄された結果、慢性的な疼痛や炎症となる狭窄性腱鞘炎に至ることもあり、この病態をde Quervain腱鞘炎、またはde Quervain病といいます。 尚、糖尿病や膠原病に罹患している場合、長母指伸筋腱の断裂や、腱鞘炎部分の癒着による拘縮などを生じることもあります。 症状 長母指外転筋腱や短母指伸筋腱の橈骨茎状突起に位置する辺りで、圧痛、腫脹、手関節尺屈動作時やフィンケルステインテスト(Finkelstein test)で疼痛を誘発します。 長母指伸筋腱の断裂があると母指が屈曲した状態で自力伸展ができなくなります。 また、長母指外転筋腱と腱鞘の癒着による拘縮が起こると手関節尺屈運動が疼痛により困難となり、母指の外転、内転動作も制限されます。 治療と予後 急性外傷の場合は、湿布や消炎鎮痛剤を投与し、手関節と母指を着脱可能な包帯副子やサポーターで症状が治まるまで患部の安静を確保します。 一般的に1〜2ヶ月の安静で回復しますが、橈尺屈運動を繰り返したり、母指の反復運動や母指に力の入る運動などを行う作業やスポーツに復帰する場合は、狭窄性腱鞘炎(de Quervain病)の発症や、慢性的経過に陥るケースもあります。 重度の痛みや腫れを呈する腱鞘炎や慢性化した腱鞘炎、長母指伸筋腱断裂の疑いなどがある場合は、整形外科の診察や治療が必要となります。 骨折や脱臼の合併の他、外傷によるショックから起こる代謝異常など、捻挫からは想像できないような事態に陥ることもあります。 ここでは、私が治療活動において経験したことのある症例を基に、後遺症や合併症を解説します。 橈骨遠位端部骨折後の合併症として比較的多い合併症ですが、損傷程度が重度な手関節捻挫でも起こります。 この損傷は、骨折や捻挫受傷時に合併するのではなく、骨折や捻挫などの損傷部分の回復が進み固定を除去した後で、リハビリや日常生活動作を行うようになった頃に突発的に腱の断裂が起こります。 損傷の本態は長母指伸筋腱の変性と摩耗による自然断裂です。 身体の代謝が低下している更年期以降の女性や、2型糖尿病の方に見られることが多く、骨折や捻挫受傷後の筋・腱の萎縮や、骨折片癒合による過剰仮骨が関与する変性腱の摩耗などが原因とされています。 症状は、母指が指節間関節(しせつかんかんせつ:IP関節)で屈曲し、自力で屈曲した母指を伸展することができなくなります。 ただし、他動的には簡単に伸展が可能で、明らかに腱が断裂して動かせないことがわかります。 触診では、健側(損傷していない側の手)と比較して長母指伸筋腱の張りの消失を 観察・触知することができます。 治療方法 長母指伸筋腱の断裂を生じたら、まず母指伸展位で40日ぐらい固定をします。 その後は、低周波やマッサージを施行して患部の代謝を高めながら経過を観察します。 個人差はありますが、8ヶ月から1年ぐらいで自然治癒することが多いです。 どうしても断裂した腱が再生されない場合は 、整形外科にて手術的処置が施行される場合があります。 手術の場合は、単純な断裂腱の断端どうしの縫合が不可能なために、示指伸筋腱(いわゆる人差し指の伸筋腱)の移行手術などが施行されます。 尚、手術によるリスクと、手術をせずにそのまま放置した場合のリスクを勘案し、手術によるリスクが大きい場合はそのまま放置することが選択される場合もあります。 そのまま放置されたとしても、日常生活上ではそれほど大きな支障が無く活動できるようになります。 予防のポイント 反対側の手や前腕と見比べて、痛めた側の手や前腕が痩せて見える場合は、長母指伸筋腱断裂を発症する確率が高くなるので、固定除去後のリハビリなどでは、母指に力を入れる動作を早期から行うのは避けて、 周囲の筋・腱の回復に合わせて徐々に行うようにしましょう。 尚、更年期以降の女性では、女性ホルモンの分泌低下に伴い、筋・腱・骨などの代謝が低下して脆弱になることがあります。 この様な時期の女性は、明らかな萎縮が見られなくても注意してください。 また2型糖尿病でも手、足の筋・腱・骨が萎縮を起している場合があり、同様の注意が必要です。 2型糖尿病の成因は遺伝因子と生活習慣に由来するもので、一般的に中高年に多く見られ、糖尿病患者の9割以上を占めているといわれています。 糖尿病は様々な合併症を引き起こします。 神経障害、網膜症、腎障害、脳血管障害、心疾患、閉塞性動脈硬化症、足部の潰瘍や壊疽、白内障、歯周病、骨粗鬆症など様々な疾患の合併が知られています。 また本質的な糖代謝の異常や、合併する血管循環の弊害により、筋肉、腱、関節などの代謝活動が低下するために、関節症、関節拘縮、筋委縮、腱炎や腱鞘炎、筋・腱の変性による断裂などが起こりやすい状態になっています。 従って、我々接骨院を営む柔道整復師においても、糖尿病に罹患しているか否かといった情報は、治療計画を立てるにあたって非常に重要な要素となります。 このページの主題である手関節捻挫においては、2型糖尿病に罹患している患者に対し、治療期間の遷延化、症状の慢性化、手関節や手指関節の拘縮、長母指伸筋腱の変性腱断裂、二次性変形性関節症の続発など、様々な弊害を想定しなければならない対照であるといえます。 外傷や疾患により手根骨の配列に異常を来し、手根骨間の連結が不安定で手関節運動に制限を生じた状態を手根不安定症といいます。 この内、外傷により生じた手根骨配列異常は、手根骨間の靱帯断裂や骨折などによる手根骨間の解離を生じたことにより起こります。 手根骨間の解離は舟状月状骨間解離と三角月状骨間解離が最も多く、その他に舟状菱形骨間解離、舟状有頭骨間解離、三角有鉤骨間解離などがあります。 手関節捻挫においては、受傷した際に靱帯損傷や手根骨の亜脱臼などが見逃され、整復や固定が不十分であった場合に起こります。 手根不安定症にはいくつかのタイプがありますが、レントゲン画像上で最も多く見られるのが、手根背屈変形(DISI)と手根掌屈変形(VISI)です。 DISIは、舟状月状骨間解離、舟状骨骨折の偽関節や変形治癒、橈骨遠位端骨折の変形治癒、月状骨周囲脱臼や月状骨脱臼の整復後などに生ずる変形で、レントゲンの側面画像において舟状骨の長軸と月状骨の長軸(近位弧の中点と遠位弧の中点を結ぶ軸線)とのなす角(SL角)が70度以上に開大しています。 また、正面画像では舟状月状骨間が3mm以上開大し、舟状骨は短縮して見えて皮質骨のリング像(cortical ring sign)が明瞭に観察されます。 VISIは、慢性関節リウマチ(RA)合併して生ずる変形で、レントゲン側面画像においてSL角が20度以下に狭小化しています。 また正面画像では手根骨全体が尺側へ偏位し、橈骨茎状突起と舟状骨橈側面の開大などが観察されます。 症状 しばらくは、無症状であることも多く、関節雑音(手関節を動かすと音がする現象)や弾発現象(手首を動かすときに、ガクッと骨やすじがずれる、あるいはバネのように弾ける動きをする現象)が出現して気が付くことが多いようです。 進行すると手関節の可動域が狭くなり、疼痛や握力低下なども起こります。 治療 初期(急性期)や亜急性期の場合は、解離した手根骨を整復・固定し保存的に行いますが、経過によっては、手術による治療が必要となります。 たとえ捻挫と思っても自己判断せず、整形外科の診察により 正確な診断を受けることが、この疾患を防ぐ意味で重要となります。 治療は整形外科で施行されます。 受傷から経過した日数や画像検査などの状況により、固定などによる保存療法か手術による治療の何れかが選択されます。 固定による保存療法の場合は、徒手整復により配列異常を生じた手根骨の整復位が得られればギプスによる固定が施行されます。 一方、単純な徒手整復では整復位保持が不可能な場合は、配列異常を生じた手根骨を整復位置でK-ワイヤー(Kirschner鋼線)により固定します。 しかし、これら固定により靭帯修復が得られるのは受傷後極めて早期に固定処置が施された場合以外は成績が悪く、初めから靭帯修復手術を選択する方が治療成績は高いようです。 靭帯修復が得られない場合や、受傷から相当期間経過し陳旧化したものでは、手術による関節固定術が施行されます。 関節固定術は、手関節の可動域が制限されますが、不安定な手根骨がしっかり固定されるため、手術前よりも手指を使った作業などは安定し、力も入りやすくなります。 手関節捻挫の合併症として、舟状骨骨折や月状骨骨折、舟状骨回転亜脱臼や月状骨周囲脱臼などがあげられます。 受傷当初は見逃される場合もあり、経過観察中に判明することも少なくありません。 単純な捻挫では、10日ぐらいの固定で痛みや腫れなどは、かなり消退します。 また、固定して安静にしていれば痛みはあまり感じませんが、脱臼や骨折などが存在していると、安静時でも疼く (うずく)ような痛みを感じます。 また、腫れも指先の方までびまん性に広がることがあり、明らかに捻挫よりも重い症状が見られます。 手根骨の骨折では骨壊死(こつえし)に至る場合もあり、また手根骨の骨折、脱臼ともに手根骨不安定症に陥ることもあるため、初診時に捻挫と診断されても、受傷後3週から4週は、レントゲンなどの検査を含めた経過観察も大切になります。 舟状骨骨折 手関節捻挫に合併する骨折としては比較的多く見られる骨折です。 特に高齢者、更年期以降の女性や、骨格完成前の10代から20代前半の青少年に発生頻度が高い傾向があります。 舟状骨骨折では、右画像の様にスナッフボックスに限局した圧痛や腫脹が生じるため、手関節捻挫でこのような症状がある場合は舟状骨骨折を疑います。 月状骨骨折 月状骨骨折は、手関節背屈捻挫を生じた際に橈骨と有頭骨の間に挟まれて骨折を生ずることがあります。 月状骨骨折の単独損傷は極めて稀で、月状骨周囲脱臼などに合併して起こることの方が多いようです。 手関節捻挫で月状骨骨折単独損傷を生じるものでは、月状骨軟化症の存在、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症など骨代謝に影響する疾患に罹患している場合が多くを占めます。 月状骨骨折では、右画像の様な位置に月状骨の限局性圧痛や腫脹が出現します。 このような症状を呈する場合は、月状骨骨折を疑います。 尚、手関節捻挫による衝撃で、橈骨手根関節の月状骨近位端辺りに突発性の腫瘤(ガングリオン)を生じることがあります。 月状骨骨折よりもガングリオンの発症の方が発生頻度が高いので、強い疼痛や月状骨に限局した圧痛や皮下出血が無い状態で、腫脹だけ際立った症状であればガングリオンの可能性が高くなります。 何れにしてもレントゲン検査などで明確に診断できるので、自己判断せず専門家の診察を受けることが重要です。 豆状骨骨折 転倒などで手を突いて手関節捻挫を生じたときに豆状骨を強打して骨折を生ずることがあります。 右下画像の位置に限局性圧痛と顕著な腫脹や皮下出血が見られれば豆状骨骨折を疑います。 この部分の骨折や打撲により尺骨神経の通り道である尺骨神経管(Guyon管)内に腫脹や仮骨による圧迫障害が起こると尺骨神経麻痺を生ずることがあります。 尺骨神経麻痺を生ずると手の第4指と5指(いわゆる薬指と小指)に痺れや神経痛を生じ、母指球が委縮して母指-小指対立運動ができなくなり、握力が低下する上に、物を摘まむ動作ができなくなります。 また、起床時や手が冷えた時など尺骨神経の血行が悪くなっている時に4指や5指が屈曲した状態で固まり、伸展が一時的にできなくなることもあります。 この様な神経症状が長期化するようであれば整形外科による手術を要することもあります。 舟状骨回転亜脱臼(舟状月状骨間解離) 舟状骨回転亜脱臼は舟状月状骨間解離によるもので、靭帯断裂により舟状骨が掌側方向へ回転亜脱臼を生じます。 下画像の様に舟状・月状骨動揺テストで舟状骨の動揺性が生じていれば本症を疑います。 前腕遠位端の骨折は舟状骨骨折と同様に手関節捻挫に合併して起こることが多い損傷です。 特に小児や高齢者の場合は一般成人の骨の強度よりも弱いために、靭帯損傷や脱臼よりも骨折に至る症例が多くなります。 転倒して手を突くなどで手関節の捻挫を起こした際に、ひび(不全骨折)などの軽微な骨折では、受傷当初にレントゲンに写らず見逃されることもあります。 特に小児では、若木骨折や竹節状骨折 、骨端線離開(こったんせんりかい)など、判定の難しいケースもあります。 また、成人の場合においても、外観は大丈夫なように見えているものの骨に限局した圧痛を触知する場合は、念のため整形外科によるX線検査をする必要があります。 検査の結果、転位の無い骨折や不全骨折(いわゆるヒビ)が判明することも少なくありません。 捻挫にしては、あまりにも痛がるようでしたら、もう一度しっかり検査をしてもらうことも大切です。 機械工や大工、サッカーのキーパーなど、習慣的に手関節に負荷の掛かる作業やスポーツを行う青壮年の男子に多く発症する傾向があります。 発生原因としては、上記のような手関節の酷使による疲労性骨障害と考えられるものの他、手関節捻挫や、橈骨遠位端骨折や手根骨骨折、手根骨脱臼などの外傷を起因とするものなどが挙げられます。 しかし明確な外傷機転や物理的負荷が無く発症するケースもあります。 これらは、血管分布の特異性や前腕遠位端の橈骨と尺骨の位置関係(尺骨バリアンス)などの解剖学的問題、あるいは病理学的な問題が関与していると考えられます。 ここでは、手関節捻挫などの外傷を起因としたものに限定した概要を解説します。 病態と症状 一般的に手関節の捻挫や骨折などの外傷が回復した後に症状が出現します。 発症初期は手関節の違和感やこわばり、あるいは関節運動時の疼痛などが見られます。 しかし、あまり症状が強くないうちは放置されていることが多く、痛みや運動制限が顕著になってから発見されるケースが多く見られます。 手関節背側の月状骨に一致した圧痛、手関節の可動域制限とこわばり、自発痛などが見られたら本症を疑います。 整形外科ではX線検査、血液検査などを行い、手根不安定症や変形性関節症、慢性関節リウマチや骨嚢腫(こつのうしゅ)、ガングリオンなどとの鑑別を行います。 病期の分類 stage1 月状骨の構造や骨密度は概ね正常な状態。 線状骨折が観察されることもある。 stage2 月状骨の形状に大きな変化は無いが、若干の扁平化と骨硬化像が観察される。 stage3A 月状骨の分節化や圧潰が観察される。 stage3B 月状骨の分節化や圧潰がさらに進行し手根骨配列異常を伴う。 stage4 月状骨の分節化、圧潰、手根骨配列異常に加えて、隣接する手根骨や橈骨遠位端の関節症性 変化を伴うもの。 治療 治療は整形外科で施行されます。 stage1では装具による固定や消炎剤の投与などで経過を観察する保存療法となります。 線状骨折が存在する場合は、ギプスや副子などで固定が施行され、超音波や低周波などで骨癒合促進のための物理療法を行います。 経過観察によりstage2以上に進行することが予想される場合は手術的な治療が検討されます。 stage2以上では手術による治療となります。 手術は病期や患部の状態により、血行再建術、尺骨バリアンス調整術、手根骨固定術などが選択されます。 特に、stage2で尺骨遠位端が橈骨遠位端関節面よりも後退した尺骨マイナスバリアンスが存在する場合、橈骨の骨切り術により尺骨バリアンスの調整をするなどの手術が施行されることもあります。 stage3以上では月状骨摘出術に腱球移植術、あるいは部分手根骨間関節固定術などが併用された手術が施行されます。 お使いのブラウザはインライン フレームをサポートしていないか、またはインライン フレームを表示しないように設定されています。

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