ブラック ライヴズ マター。 BLM「ブラック・ライブズ・マター」②デモ真相と黒幕の正体とは?

MUSIC MAGAZINE (ミュージックマガジン)2020年 8月号【特集:ブラック・ライヴズ・マターとアフリカン・アメリカンの歴史】 : MUSIC MAGAZINE編集部

ブラック ライヴズ マター

長い歴史がある黒人差別 日本を含む各国に、他国の植民地化や奴隷制の暗い歴史があるけれど、アメリカでは白人による黒人を対象とした奴隷制度があった。 アメリカに建つ多くの建築物は黒人奴隷によって建てられており、アメリカ政府の中枢で大統領家族が住むホワイトハウスや、国会議事堂、ハーバード大学法学院などの建物は奴隷なしには完成していない。 今から159年前の1861年に奴隷制度をめぐって国内で南北戦争が勃発したけれど黒人差別は長らく改善されず、今から70年前の1950年代から60年代にかけて、キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング氏やマルコム・Xなど、複数の黒人リーダーがそのコミュニティのために立ち上がり、公民権運動を率いた。 米Mapping Police Violenceのデータによると、2019年の1年間に警察によって殺された黒人は約264人。 また、警察官によって殺される可能性は、黒人であるだけで白人より3倍も高い。 そのため、現代でもなお黒人コミュニティでは、子どもたちに幼少期から警察の前では手をあげ、名前を言い、武器を持っていないことを証明するよう教えている家庭は多い。 右からミシェル・オバマ氏、バラク・オバマ氏、そして2人の娘。 しかしオバマ前大統領の退任にあたり、2017年より大統領に就任したドナルド・トランプ大統領は、様々な差別発言を繰り返しており、ツイッターから暴力を煽動しているとして警告された、Black Lives Matter運動に対するツイート 「When The Looting Starts, The Shooting Starts(略奪が始まれば、銃撃を始める)」は、公民権運動の時代に黒人を抑圧した警察が使用したフレーズを引用したもの。 国の最高権力ともいえる大統領が差別発言を繰り返すことの社会への影響は大きく、ジョージア州アトランタ市長で、自身も黒人であるケイシャ・ランス・ボトムズ氏はこう非難している。 Black Lives Matter運動はいつ起こった? 2020年に入り、すでに複数名の黒人が白人警官によって殺されている。 2月に25歳の黒人青年アマード・アーベリーが元警察官の白人である父とその息子に射殺され、さらにその後3月には26歳のブリオナ・テイラーが、そして5月には46歳のジョージ・フロイドが警察に殺された。 黒人であるだけでその命が軽視された彼らのための正義が果たされないことには、多くの人々が怒りを表明しており、5月の終わりには各地で大規模なデモが発生。 その際に叫ばれたのが、「Black Lives Matter ブラック・ライヴズ・マター 」。 抗議デモでトレイボン・マーティン少年の写真を掲げる市民。 (2012年にニューヨークで撮影) ジマーマンは少年がショップを強盗したと思い込み、わざわざ後を追跡。 つきまとうジマーマンとマーティン少年は口論になり、ジマーマンは少年を射殺した。 ジマーマンは第2級殺人に問われたものの、2013年に無罪判決が出される結果に。 男が当初逮捕されなかったこと、さらに無罪判決が出されたことで、今に繋がるBlack Lives Matter運動に発展した。 ちなみに、ジマーマンは少年を射殺した際に使用した拳銃を、「アメリカ史の一部を所有する機会」だと言って2016年にオークションに出品した。 2014年にも白人警官による黒人殺害が多発 また残念なことに、2012年から今年2020年までの8年間にも同様の事件が多数起こっており、射殺や窒息死などで多くの非武装の黒人が警察の手によって命を落としてきた。 2014年には、7月にエリック・ガーナー(43)窒息死事件、8月にマイケル・ブラウン(18)射殺事件、10月にラクアン・マクドナルド(17)射殺事件が立て続けに発生し、Black Lives Matterがふたたび大きく叫ばれることとなった。 ガーナー氏を殺害した警官は罪に問われず、2019年に懲戒免職処分となるまで警官として働き続けた。 ブラウン青年に発砲した警官は、不起訴となっている。 マクドナルド少年を撃った警官は、事件発生から1年後の2015年に起訴され、2018年に検察が求めていた第一級殺人ではなく第二級殺人で有罪が確定。 求刑禁固18年から20年だったが、2019年に禁固6年9ヵ月の実刑判決が言い渡された。 白人警官は黒人に偏見がある 警察による黒人差別は、最近ではレイシャル・プロファイリングという言葉で問題になっている。 これは、警察が個人の行動を見て判断せず、その人物の人種や宗教などによって先入観を持ち、疑いを持った目で見ることで、偏った層に対する捜査が行なわれることを指す。 例えば、車に乗っていただけにもかかわらず、黒人であるだけで疑われるというもの。 エリック・ガーナーを殺害した警官が不起訴となったことを受けて発生した抗議デモ。 ファーガソンの人口比率は、黒人が69. 5月26日には、白人が「黒人に脅された」と警察に通報したが、その内容は、犬に首輪をつけてほしいと言われただけだったと明らかになった。 5月27日には、モーテルで浮気をした白人教師が、モーテルにいたのは黒人2人に誘拐されたからだと警察に嘘の通報をした。 これらは、たったの3日間で起こったこと。 白人の真犯人が、犯人は黒人だと主張したり、自分の気分を害されただけで警察に通報したりすることは過去に数えられないほど発生している。 警官はなぜすぐ暴力的になるのか? そもそもアメリカでは、人種にかかわらず警察官の対応によって命を落としている人が多く、その数は1年間で約1,000人。 しかし他の国、例えばイギリスでは、10年間で23人である。 Police Executive Research Forumによると、2015年時点で警察官が受ける「衝突の段階的緩和」に関する訓練はたったの8時間なのに対し、「武器及び戦闘」に関する訓練は129時間にのぼる。 ジョージ・フロイドの死を受けて発生した抗議デモで、市民と対立する警察。 Netflixシリーズ『ハサンミンハジ:愛国者として物申す』でこう話したストートン教授は、さらに警察学校で教えられたという訓練を紹介。 それは、手で銃の形を作り、相手が「バン」と言うより先に相手を撃たなければいけないルールの訓練。 もちろんそのような状況では、相手がポケットに手を入れているだけで、警戒心がかなり高まる。 警察官相手のセミナーを行なう陸軍中佐デイヴ・グロスマンは、 「君たちは暴力と闘う。 なにを持って闘う?さらに上級の暴力、正義の暴力だろう?」と発言し、問題視された。 A source shared this video, which he says he took at around 10 pm near near 12th and Broadway. It appears to show an NYPD officer pointing a gun at protesters outside the Strand — Jake Offenhartz jangelooff Black Lives Matterのプロテスト中に、突然市民に向けて拳銃を向けた警察官。 なぜ警官は逮捕されない? 黒人が一方的に殺害される事件では、黒人の命が軽視されているという問題の他に、こんな疑問も浮かびやすい。 『ハサンミンハジ:愛国者として物申す』のシーズン4エピソード6では、警察システム自体に潜む問題にも迫った。 まず、警察には限定的免責と呼ばれる権利があり、被害者が警官による被害を訴えても、その警官が被害者の「明確に定められた権利」を侵害していない限り、どのような権利を侵害したのかという似た前例がなければ認められない。 例えば過去には、犬を撃つために白人警官が放った銃弾が、近くにいた白人少年の脚に当たってしまった事件が発生し、少年の家族は警官を訴える構えを取ったけれど、「犬を撃とうとした際に少年に当たってしまったという前例」がなかったため、訴えは棄却された。 Black Lives Matterの抗議デモで、市民を逮捕する警官。 (2020年6月3日にニューヨークで撮影) これだけでも十分に問題とみなされているけれど、さらに、そんな前例を探そうにも警察官の犯罪記録は機密情報として扱われており、外部から確認ができない。 カリフォルニア州では、警察官に関する記録を公にする法案が可決されたが、今度はその資料を燃やすことが許可されるというまさかの事態が発生した。 また、警察組合の存在も問題視されている。 組合員、つまり警察官の権利を守るために動く警察組合は、警察官の犯罪記録を一定期間の後消去するといった協定を各関連団体と結んでいることもある。 さらに、組合内での協定を法律化することも可能で、これまでに各州でこのような法律を作っている。 ・殺人を犯した警官の有給休暇 ・匿名の通報の捜査禁止 ・暴力的な警官のアイデンティを匿名に そして、ジョージタウン大学のマイケル・エリック・ダイソン教授は、『ハサンミンハジ:愛国者として物申す』のインタビューで警察と検察の癒着も指摘する。 警察官が犯罪を行なった時、その警察官を起訴するのは検察。 しかし、その起訴のために必要な証拠や証言を得るためには、警察の協力が必要になる。 持ちつ持たれつになってしまうので、検察も警察に強く出られなかったり、警察が検察に賄賂を渡したりするという問題があるという。 このような多くの要因から、Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)運動に賛同する人々は、過去の事件に関わった警察官だけでなく、警察および社会の構造そのものの改善を求めている。 シンガーのアリアナ・グランデは、 「特定の警察官だけを逮捕することだけが正義じゃない。 これを許してしまった体制を解体させることこそが正義」とコメントし、抗議デモに参加した。

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ブラック・ライヴズ・マター運動を題材にした映画、重要なのは語り合いたいと思わせること

ブラック ライヴズ マター

本作は、近年アメリカを騒がせている「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)」(黒人差別を批判するスローガン)運動を題材にした物語。 黒人の低所得者の多い町に住む16歳の少女・スターは、裕福な白人が多い私立高校に通い、態度や言葉遣いを地元にいるときと使い分けていた。 ある日、幼なじみの少年カリルと地元のパーティーに参加した帰り、武器も持たないカリルがあらぬ疑いをかけられ目の前で警官に銃殺されてしまう。 彼女はカリルのために立ち上がることを決意する。 [PR] 主演のアマンダは役にのめり込むあまり、感情をコントロールできなくなってしまったことがあったそうで、「カリルの死は(スターにとって)実際に起きた事件でもあって、いかに彼の死が家族に災いをもたらしたかを知っているし、彼に関する動画を何度も観ていたの。 演じているうちに、その事実と自分の演技の区別がつかなくなるほど入り込んでしまい、ジョージが『カット』と言っても、感情を通常の状態に戻すことがすぐにできなかったのよ」と撮影を振り返った。 著者アンジー・トーマス 原作者のアンジーは、大学4年生のときに本作のアイデアを思い付いたそうだ。 「当時わたしは、同じミシシッピ州にある二つの全く別の世界に住んでいたの。 一つは暮らしていたほぼ黒人が住む地元、もう一つは通っていた白人中心の私立大学。 家に帰るときは、トゥパック・シャクールの曲を聴いていたけれど、白人の居住区に入るとジョナス・ブラザーズの楽曲を聴いていたわ」と語る。 まさに原作の主人公のような生活を送っていたのだ。 [PR] だが、ある日、カリフォルニア州オークランドでオスカー・グラントという黒人の若者が殺された事件を知る。 「あの事件は、わたしの住んでいる場所から何千キロも離れた場所で起きたけれど、大学でも話題になるほど影響力があったわ。 オスカーはある意味で、どこにでもいるわたしたち黒人の中の一人だったのよ」。 同事件にフラストレーションを感じたアンジーは、短編を執筆し、人種差別から起きた別の事件と自身の体験談を基に長編小説を書いたそうだ。 ジョージ・ティルマン・Jr監督 原作はヤングアダルト小説ではあるが、年齢の枠を超えた普遍的なメッセージが本作には込められているとティルマン・Jr監督は語る。 「本作の鑑賞後に、誰かと話したいと思わせることが重要なんだ。 警官の暴力についてでも、人種差別についてでも良いんだ。 友人関係や家族構成など、たとえ映画内の家族の住んでいる場所に観客が住んでいなくても、自分の家族と照らし合わせてみることができる作品だと思うよ。 主人公スターの家族は、次の段階へ進むためになんとか乗り切ろうしていて、それは誰もが共感を持てるものだからね」。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki).

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ブラック・ライヴズ・マター運動を題材にした映画、重要なのは語り合いたいと思わせること

ブラック ライヴズ マター

視聴方法: 原題は『』。 先日、米「(ワーナー・ブラザーズ)」が、この映画をすべてのデジタルプラットフォームで6月に無料レンタル配信することを発表したばかり。 人権弁護士 (ブライアン・スティーブンソン)の実話を映画化した今作は、全米ベストセラーの回顧録『』が原作。 1980年代のアメリカ・アラバマ州で、無実の罪で死刑宣告された黒人の被告人 Walter(ウォルター)を助けるために新人弁護士 Bryanが立ち上がるが、仕組まれた証言、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正に阻まれるというストーリー。 この作品の冒頭は、第44代アメリカ合衆国大統領 (バラク・オバマ)のスピーチから始まる。 黒人が犯罪者として逮捕されやすい事実を学者、活動家、政治家が分析するドキュメンタリー。 Samuel L. Jackson(サミュエル・L・ジャクソン)がナレーションを務め、Baldwinによる公民権運動指導者のMalcolm X(マルコム X)、Martin Luther King Jr. (マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)らの回想を通して、アメリカ合衆国における人種差別の歴史、そしてその歴史についての彼の個人的な考察が描かれる作品。 同作は2017年、第89回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。 Toni Morrison: The Pieces I Am(原題) 視聴方法: 『ボクらを見る目(原題:When They See Us)』は、「Netflix」で配信された2019年のドラマ・リミテッドテレビシリーズ。 1989年4月19日に発生したセントラル・パークにおけるジョガー性的暴行事件において、容疑者としてハーレムの少年5人が不当逮捕される。 冤罪で起訴された5人の少年と、彼らの家族たちを描いたドキュメンタリー作品。 本作は2019年の配信以降、世界中で絶賛されており、第71回プライムタイム・エミー賞ではリミテッドシリーズ部門の作品賞、監督賞、脚本賞など計11部門でノミネートされ、主演のジャレル・ジェローム)は主演男優賞を受賞した。 投獄:カリーフ・ブラウダーの失われた時間.

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